• エグゼクティブサマリー

    • 1990年前半にロンドンFOX不動産先物市場でインデックスに基づく不動産デリバティブの導入が試みられた。その時点では失敗に終わったが、この10年間で英国、米国、欧州大陸の店頭市場(OTC)および上場市場でいくつかの不動産デリバティブ商品が開発された。
    • だがこうした不動産デリバティブ市場は将来有望で拡大しつつあるとはいえ、これまでのところその成功は限定的なものにとどまっている。これは不動産のダイレクトリターンという独自性を十分に捉えられなかったことによるところが大きい。
    • その結界、既存の不動産デリバティブは、ヘッジを行う者にとってはベーシスリスクが大きく、非上場不動産リターンを総合的に再現しようとする投機家にとっては代替投資として不完全なものとなっている。
    • ヘッジ効率を高めるには非上場不動産のインデックスを改善することが重要であるが、金融イノベーションの可能性を見落としてはならない。
    • 金融イノベーションによって、ピュアファクターヘッジや複合ヘッジ(インデックスとファクターの組み合わせ)といった、ファクターに基づく代替デリバティブモデルが誕生する可能性がある。
    • ロンドンのシティでこうした代替モデルの実験を行ったところ、不動産インデックスに基づく様々なデリバティブに加え、マクロファクターに基づくツールを導入することが投資家のメリットになることが分かった。並行して行われた中国のファーストティア都市のオフィス市場に関する分析でも、同様の結果が得られた。
    レッドペーパー3月号 - 非上場不動産リターンのヘッジと複製:不動産デリバティブは絵空事か?PDF
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